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【プラチナバンドとは何なのか】携帯電話最適の電波をめぐる4キャリアの攻防を調べてみた

saiga
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昨日、楽天モバイルがなぜ安いのかを記事にしました。
【楽天モバイルはなぜ安いのか】楽天モバイルを使った方がいい人・使わない方がいい人を考えた なんでこんなに安いんだろうと思い、調べてみました。 今日は楽天モバイルが安い背景を知った上で、楽天...

楽天モバイルの利用者を増やし、圧倒的な存在感を国内に示すことで、プラチナバンドの再編を政府に迫ることが楽天の狙いだと記事では書きました。

プラチナバンドは携帯電話事業者にとって生命線です。
今日はあらためて、プラチナバンドとは何なのかについて話します。

携帯電話事業者(キャリア)を取り巻く電波状況

昨年12月に総務省が開催した「デジタル変革時代の電波政策懇談会」において、楽天は次のような資料を提示しました。


参考:デジタル変革時代の電波政策懇談会(第2回)説明資料 楽天モバイル株式会社 

楽天モバイルの周波数が他の3キャリアと比べて少ないという資料です。
確かに、他の3キャリアが9~10の周波数を割り当てられているのに対して、楽天モバイルには3つしか周波数が割り当てられていません。

なぜこんなことになっているのでしょうか。

電波の使用には許可が必要

世界中では今も無数の電波が飛び交っています。
ラジオ、衛星放送、携帯電話、テレビ等々、電波の使用用途はそれぞれです。
どの電波を何に使うのかは世界レベルで細かく決められており、勝手に使うことは許可されていません。

日本でも公共の電波を使用するためには、総務省に申請して許可を得る必要があります。
電波の割り振りには次のようなものがあります。

東京FM 80MHz
ニッポン放送 1242kHz
地デジテレビ放送 約473MHz~707MHz
WiFi 2.4GHzまたは5GHz

東京FMを1242kHzの電波で発信してはいけません。
そんなことをしたら、ニッポン放送と混線してしまうでしょう。

電波政策懇談会で楽天が提示した表では、上部に「MHz帯」か「GHz帯」という表記で周波数が示されています。
これが現在、携帯電話で使用されている周波数になります。
つまり、携帯電話事業者(キャリア)には現在12の周波数が用意されていますが、楽天はそのうち3つの周波数しか利用を許可されていないのです。

電波の特徴

ここで、少し電波の特徴を見ていきます。

電波には3つの特徴があります。

・電波は周波数が高いほど通信量は大きくなる
・電波は周波数が高いほど飛距離が短くなる
・電波は周波数が高いほど直線的になる

紙や石、木など、電気を通すものは電波も通します。
一方で、鉄やアルミなどの金属は、電波を通しません。
電波が当たると弾いたり、表面を流れたりして中まで通らないのです。

3つ目の特徴にある「直線的になる」とはどういうことかというと、周波数が高い電波は大きい情報量をやり取りできますが、飛距離が短く、障害物に当たると消滅してしまうということですね。
一方で周波数が低い電波ほど飛距離は長く、建物に当たっても、回り込んだり透過したりして後ろまで届くのです。

これを現代の建物事情に照らし合わせるとどうでしょうか。

今時100%木でできた家なんて、ほとんどありません。
都心にあるビル群はほぼ全てが鉄筋コンクリート造りです。

このような中ですみずみまで電波を巡らせるためには、高い周波数の電波だけでは不十分です。
特に携帯電話の電波は屋内外問わず繋がる必要があるため、ある程度低い周波数の電波を使わなければなりません。

そしてこのある程度周波数が低く、すみずみまで巡らせることができる電波が700~900MHzで、通称プラチナバンドと呼ばれています。

プラチナバンドについては、楽天の資料でめちゃくちゃ分かりやすく書かれていました。


参考:デジタル変革時代の電波政策懇談会(第2回)説明資料 楽天モバイル株式会社 

携帯電話事業者としては、プラチナバンドが使えるのは必須と言うことですね。

ではなぜ今の携帯電話用の電波がこんな割り振りになっているんでしょうか。
次に携帯電話の普及の歴史を見ていきましょう。

携帯電話の電波の歴史を振り返る

携帯電話が開発されて日本国内で普及が始まった頃、携帯電話の電波として700~800MHzが割り当てられました。

当初その電波を利用していたのはdocomoとKDDI(au)の2社のみです。
1990年代後半から、2000年代にかけて携帯電話は爆発的に普及していきました。

私の記憶では、この頃から学生が携帯電話を持つことが普通になっていったのを覚えています。

携帯電話の電波として割り当てられた周波数ですが、次第に通信量の激増で回線がいっぱいになっていきました。
そこで新たに携帯電話用の周波数がどんどん設置されていきます。
楽天が提出した表にある1.5GHz以上の周波数が、この頃(もしくはそれ以降)に設置された周波数です。

2000年代前半から、docomoとauはプラチナバンドと高周波数の電波の両方を使用して携帯電話事業を展開していきました。

一方、Vodaphoneを買収し、3つ目のキャリアとして携帯電話事業に参画したSoftBankは、当初プラチナバンドの使用権が無いために随分と苦労します。
高周波数の電波しか利用できないSoftBankには、一時「SoftBank=繋がらない」という不名誉なイメージがついてしまいました。

SoftBankがプラチナバンドの使用権を手に入れたのは2012年のこと。
当時、唯一SoftBankが取り扱っていたiPhoneが国内で急速に普及し始めたことで、遂に総務省も存在を無視できなくなったのです。

プラチナバンド使用権獲得は楽天モバイルの悲願

楽天モバイルはプラチナバンドを手に入れるために、激安戦略でユーザー数を急速に獲得しています。
ユーザー数を増やして世論を味方につければ、総務省と他3キャリアはプラチナバンドを再編せざるを得ないと考えているのだと思います。

もちろん、今の楽天モバイルでもある程度の通話は十分可能です。
楽天モバイルは高周波数の回線しか使えないことを計算に入れて、基地局を凄いスピードで設置しています。
パートナー回線の利用もあり、プラチナバンド無しでも通話が途切れることは殆どありません。

しかし、楽天モバイルからは他3社と並ぶためには絶対にプラチナバンドが必要だと考えている執念が伺えます。

三木谷さんは記者会見で「プラチナバンドはまだ必要だと思うか」という記者からの問いに対して「絶対に必要だ」と答えていました。

かつてのSoftBankのように、今の楽天モバイルにとってプラチナバンドの使用権獲得は悲願となっているのでしょう。

【まとめ】プラチナバンドは携帯電話事業者にとって必要な電波

以下、今回の記事のまとめです。

・プラチナバンドは携帯電話誕生時から使われている電波
・プラチナバンドには屋内や障害物を超えて届く特性がある
・プラチナバンドを利用できないのは4キャリアの中で楽天モバイルのみ
・楽天モバイルにとってプラチナバンド利用権獲得は悲願

いかがでしょうか。
今回の記事ではプラチナバンドがどういうものか、各社プラチナバンドを巡ってどんな因縁があるのかを見てきました。

これを踏まえた上で、楽天モバイルを使ったほうが良い人と使わないほうが良い人を、次の記事にまとめていますので、興味のある方は是非ご覧ください。

【楽天モバイルはなぜ安いのか】楽天モバイルを使った方がいい人・使わない方がいい人を考えた なんでこんなに安いんだろうと思い、調べてみました。 今日は楽天モバイルが安い背景を知った上で、楽天...

 

プラチナバンドや電波については以下の本を参考にさせていただきました。
タイトルはまあアレですが(お母さん?)、わかりやすくておススメです。
電子書籍になりますので、スマホを使って空き時間にでも読んでいただければと思います。

ちなみに、こちらの本はKindle Unlimitedに加入していれば無料で読めます。

それでは今日はこの辺で。

saiga(@saiganosumika)がお送りしました。